育てるおばはん日記

以前は食べるおばはん、今は育てるおばはんになりました。

痛烈な「カエルの楽園」と今だけ無料公開中の2020版

 

ワォ、初めてこんな本を読んだ。何て痛烈な物語なのか。

 

たまたま話題になってたのを見て怖いもの見たさで読んでみたら、ストーリーに引き込まれて昨日の午後一気に読みきった。作者は「永遠のゼロ」を書いた百田尚樹。彼の本はこれが初めてだ。

 

これはNAPAJ(ナパージュ)という美しい国に住む、平和を愛するツチガエル達の話。主人公はソクラテスという、元いた自分の故郷を紛争から追われ、ナパージュにたどり着いたアマガエル。今でいう難民かな。ナパージュのカエル達は親切で人に優しく、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」という三戒を遵守し、三戒を守ることこそが平和の理由だと固く信じて疑わない。毎日「謝りソング」を歌い、昔した悪いことを懺悔する日々。ツチガエル達は毎日広場で踊りや歌を見て楽しみ、物知りのデイブレイクの昔話や平和を守るための説教をよく聞き、三戒を揺るがすものを一切許さない。

ナパージュが住んでるすぐ近くにカエルを食べる凶暴なウシガエル達が住んでいるのだが、ある日、ナパージュの南の崖近くにウシガエル達が頻繁にやってくるようになってきて・・・、ということで進んでいく物語。

カエルの楽園

うーん。なかなか現実を風刺している本で、物議を醸し出しそうだけど、現状を考えさせてくれる良本。内容に賛成、反対問わず読むべきだとは思う。何で自分は賛成なのか?何で反対なのか?を流されずに自分でしっかり考えることが重要。

人に親切に接したら相手も自分に親切を返してくれる(するべきだ)、というのは、例えば「私はこう考えているんだから、あなたも当然同じ考えになるべきでしょ!」と相手に言ってるようなものだということ。普通の生活では「あなたと私は皆んな考えが違って世の中には色んな人がいる」ってすぐに分かるけど、大きなことになったら思考停止になるのは何でだろうか。 

 

この本を読んで、ある有名な中国語のことわざを思い出した:

「害人之心不可有、防人之心不可無」

("人を陥れる心を持ってはいけない、人を防ぐ心も無くしてはいけない")。

この本のツチガエル達は最初の半分しか実践してないってことか・・・。

 

ちなみにこのカエルの楽園は2020バージョンがあって、丁度この週末だけ限定的にネットで無料公開している。コロナが発生した今に舞台が変わっていて、前作とはパラレルワールド、という設定。ツーステップやイエストールなど、誰だかすぐに分かる名前設定は相変わらず秀逸。前作と特に違うのは、リーダーのプロメテウスに対する描写かな。

「批判をするなら対案を必ず合わせて出せ。」これは仕事で昔先輩に口酸っぱく言われた言葉だったが、まさに政治家や評論家達も常に心がけるべきだよね。思えば今ってまさにゲーム理論に出てくる典型的な状況に似てて、皆んなが一番ベストな行動をしたら解決は早いはずなのに、足並みが揃わないから、結果全員が損をする行動を選択してるような気がする。。

 

急ピッチで書いたようで、まだコロナ自体が現在進行形だからなんだか途中の描写や結末がやや粗い感じはしたけど、こんな時期に考える素材を提供してくれた作者に感謝。

 

結構長くなったけど今週末だけの公開だからとりあえずブログに紹介アップしまーす。

Happy Mother's Day!